はじめに──「働くしかない」という選択肢しかない子どもたち
ダッカ郊外の縫製工場。
ミシンの音が絶え間なく響く室内で、少年ラフィク(仮名)は布を押さえ続けています。
学校に通っていたのは、ほんの数年前まで。
洪水で家が浸水し、父の仕事がなくなったあと、彼の一日は工場で始まり、工場で終わるようになりました。
ダッカ郊外の縫製工場。
ミシンの音が絶え間なく響く室内で、少年ラフィク(仮名)は布を押さえ続けています。
学校に通っていたのは、ほんの数年前まで。
洪水で家が浸水し、父の仕事がなくなったあと、彼の一日は工場で始まり、工場で終わるようになりました。
ソマリア中部のある村。
かつては雨季になると、小さな畑に緑が戻っていました。
しかし今、空は青く澄んだままです。
雲は流れ、雨は降りません。
母親は、痩せた子どもの腕をそっと撫でながら言います。
「昨日より、少し弱っている気がする」
イエメン西部のある村。
朝になっても、家の中に朝食はありません。
母親は子どもにこう言います。
「今日はあとで、きっと何かあるよ」
けれどその「あとで」は、来ない日もあります。
空腹は特別な出来事ではなく、
我慢するもの、やり過ごすものとして、日常に組み込まれてしまっている のです。
シリア北部。
朝日が差し込む廃校の前で、少年アリー(仮名)はじっとフェンスを見つめていました。
かつてここには、彼が毎朝かよっていた教室がありました。
友だちと笑い合った場所。新しい単語を覚えるたびにうれしくなった国語の授業。
しかし爆撃で校舎の一部は崩れ、その日の授業は永遠に失われました。
「また学校に戻れるよね?」
“【シリアの子どもたちの現状】内戦と難民生活で失われた「日常」とは?” の続きを読むアフガニスタン東部の小さな村。
朝の光のなかで、少女マリヤム(仮名)は教科書を胸に抱え、学校へ向かっていました。
読み書きができるようになったことで、
「いつか看護師になりたい」という夢を語るのが彼女の日課でした。
しかし、ある日突然、学校の門の前で彼女は立ち止まります。
「女の子はこれ以上、学校へ通うことはできません」
“アフガニスタンの子どもたちと女子教育問題——紛争と貧困の中で生きる女の子の「未来」とは?” の続きを読む