はじめに —— 「ありがとう」と「返礼品」のあいだに
夕方、スマートフォンを眺めながら、ふと「どこかに寄付をしてみようかな」と思う瞬間があります。
ニュースで目にした子どもの貧困や災害支援、気候変動の話題が胸に残り、少しでも何か役に立ちたいと感じたからかもしれません。
翌日、ふるさと納税のサイトを覗いてみると、返礼品の魅力や控除制度のわかりやすさに驚きます。
「寄付」なのに特産品も届く。制度として賢く使える。
こうして、「寄付をした」という感覚と、「返礼品を受け取った」という満足の両方を手にする人も多いのではないでしょうか。
しかしその一方で、あなたのその一歩が、どれほど社会課題の解決に使われているのか。
あるいは、返礼品競争のような“消費の延長”になっていないか。
寄付市場が急拡大するいまこそ、静かに問いかける必要があります。
