寄付を検討している多くの人々にとって、「寄付したお金がどこに行くのか?」、「どのように使われているのか?」という疑問は避けて通れません。
本記事では、寄付の行方やその使い道について詳しく解説し、信頼できる団体の見極め方を紹介します。寄付を通じてどのように社会貢献が果たされるのか、その具体例を見ていきましょう。
目次
義援金と活動資金の違い
義援金とは?
義援金とは、災害などの被害を受けた人々や地域を直接支援するために使われる寄付金です。例えば、東日本大震災では、7,000億円以上の義援金が集まりました。
この義援金は、政府や地方自治体、NPOを通じて被災者に届けられます。義援金の配分は「義援金配分割合決定委員会」で決定されます。
義援金の流れ
- 寄付の受付:寄付は様々な窓口を通じて受け付けられます。例えば、日本赤十字社や地方自治体、企業などが窓口の一つとなっています。
- 委員会での配分決定:義援金配分割合決定委員会は、被害状況を評価し、どの地域や被災者にどの程度の支援が必要かを決定しています。この委員会は、学識経験者、被災者代表、福祉団体の代表などで構成されています。
- 配分と使用:決定された配分計画に基づき、各自治体やNPOが義援金を受け取り、被災者に直接支援を行います。
例えば、住宅の再建支援、生活必需品の提供、医療費の支援などが挙げられます。
活動資金とは?
活動資金は、NPOや国際NGO、公益財団などの非営利団体の運営/活動費用として使われます。これは、支援活動を継続するための資金であり、例えば生活困窮者への食料や毛布の提供、学習支援やシェルター運営などに使われます。
さらには非営利団内の中で働く職員やスタッフに対する人件費や団体の運営を継続するための基本的な費用(オフィスがあれば家賃や光熱費、その他雑費など)としても一部が使われています。
活動資金の流れ
- 寄付の受付:活動資金の寄付は、各団体のウェブサイトや募金活動を通じて行われます。
- 内部配分計画の策定:各団体は、寄付金の使い道を決定するための内部会議を行います。ここで、どのプロジェクトにどれだけの資金を割り当てるかが決定されます。
- 活動の実施:決定された計画に基づき、活動が実施されます。例えば、子ども食堂の運営費用、災害支援物資の購入、教育プログラムの実施などです。
- 報告と透明性の確保:活動終了後、寄付金がどのように使われたかを報告書としてまとめ、ウェブサイトやメールニュースで寄付者に報告します。また、一部の団体では、寄付者に対して定期的な進捗報告を行っているところもあります。
寄付金の使い道の具体例
国内での寄付金の使い道
国内では、貧困支援、教育支援、子どもの居場所づくり活動などが主な使い道となっています。
貧困支援
日本では、約9人に1人の子どもが貧困状態にあります。(2024年現在)こうした子どもたちに対しては、高校や大学の奨学金の給付・貸与が行われています。
例えば、「あしなが育英会」は交通遺児や病気・災害で親を失った子どもたちに奨学金を提供しています。寄付金の約90%が奨学金として直接支給され、残りの10%が運営費に充てられます。
教育支援
不登校や虐待、ネグレクトなどで学校に通えない子どもたちへの学習支援が行われています。例えば、「Learning for All」では、社会から疎外された子どもたちに対し、放課後の学習支援やメンタリングプログラムを提供しています。
子どもの居場所づくり
困難を抱える子どもたちのための居場所づくりも重要です。
「カタリバ」は東京都足立区の「アダチベース」で地域を巻き込んだイベントを実施し、子どもたちが安心して過ごせる場所を提供しています。
例:海外での寄付金の使い道
海外では、災害支援、難民支援、飢餓対策、学習支援、子どもの保護活動などに使われています。
災害支援
ユニセフは途上国で災害が発生した際に、食料や医薬品の提供、感染症の予防・管理、仮設学習スペースの設置などを行っています。寄付金は現地のニーズに応じて迅速に配分され、支援活動が行われた後には詳細な報告が寄付者に提供されます。
難民支援
AAR Japanは、難民キャンプで生活必需品の供給や教育環境の整備、心のケアを行っています。具体的には、寄付金の50%が食料や衣料の提供に使われ、30%が教育プログラム、20%がメンタルヘルスサポートに充てられています。
飢餓対策
WFPやワールド・ビジョン・ジャパンは、食料不足に苦しむ地域での食料配給や栄養価の高い作物の栽培研修を実施しています。寄付金の使途は明確にされており、例えばWFPでは、寄付の85%が食料配給に使われ、15%が現地の農業支援プロジェクトに使われています。
信頼できる団体の見極め方
団体の透明性と実績を確認
寄付をする際には、その団体がどのように寄付金を使っているのかを透明に公開しているかどうかを確認することが重要です。例えば、「あしなが育英会」は、設立以来多くの遺児学生を支援してきた実績があります。寄付金の使い道は詳細に報告されており、ウェブサイトで閲覧可能です。
寄付金の使途の詳細をチェック
団体の公式サイトや報告書で、寄付金が具体的にどのように使われているかを確認することができます。ひきこもりやニートの若者への支援活動を行っているとある団体の報告書では、寄付金の70%が直接支援に使われ、20%が運営費、10%が広報活動に使われていることが明記されています。
非営利団体の人件費について
SNSなど、一部の意見として「非営利なのにスタッフに給料を上げているのはおかしい」「NPOは利益を出してはいけない」という声が見られることがあります。
これには一見心のない意見とも見えますが、非営利団体という名称がもつ偏ったイメージや先入観が先行し、誤解の生まれやすい法人形態だからとも言えるでしょう。
非営利団体の運営には、当然ですがスタッフの人件費も含まれています。以下に、その背景を説明します。
非営利団体とは?
非営利団体とは、利益を関係者に分配しない団体です。利益を出してはいけないわけではなく、得た利益はすべて次年度以降の活動資金として使用されます。これは、非営利団体が継続的かつ安定的に活動を行うために必要なことなのです。
人件費の重要性
非営利団体のスタッフは、プロフェッショナルとして専門的な知識とスキルを持って活動しています。そのため、適正な給与を支払うことは、団体の運営を維持し、質の高いサービスを提供するために不可欠です。例えば、災害支援や難民支援の現場では、迅速かつ適切な対応が求められ、そのためには経験豊富なスタッフが必要です。
当然のことながら、非営利団体に正式なスタッフとして会社員同様に働いているのであれば、彼らにも生活があり養っていくべき家族や人生があります。社会貢献とは言え、適切な組織体制と給与体制があるからこそ、良い団体運営と活動が可能になるのです。
注意点やまとめ
寄付をする際には、寄付金の使い道が明確であり、信頼できる団体を選ぶことが重要です。各団体の公式サイトや報告書を確認し、透明性や実績を確認することで、寄付金が有効に使われることを確認できますし、寄付の使い道を理解することで、寄付する側も安心して支援を行うことができます。
寄付は、社会課題の解決に向けた重要な手段です。
自分の寄付がどのように使われ、どのような影響をもたらすのかをしっかり理解することで、より効果的な支援が可能になります。是非、本記事を参考にして、信頼できる団体への寄付を検討してみてくださいね。