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難民、児童労働、洪水【バングラデシュの子どもたち】

目次

  • 1 はじめに──「働くしかない」という選択肢しかない子どもたち
  • 2 1. バングラデシュという国──成長と脆弱性が同居する社会
  • 3 2. ロヒンギャ難民──突然増えた「支えきれない人口」
    • 3.1 ■ 世界最大規模の難民キャンプ
    • 3.2 ■ 教育の欠如がもたらす長期的影響
  • 4 3. 児童労働──「学ぶより働く」が現実になる理由
    • 4.1 ■ 生活を支えるために働く子どもたち
    • 4.2 ■ 児童労働が奪うもの
  • 5 4. 洪水と気候変動──毎年のように奪われる「日常」
    • 5.1 ■ 水と共に生きる国の危うさ
    • 5.2 ■ 洪水が子どもに与える影響
  • 6 5. なぜ問題が「見えにくい」のか
  • 7 6. 国際社会が行っている支援の方向性
  • 8 7. 日本から考えるバングラデシュ支援の意味
  • 9 おわりに──「選択肢」を取り戻すために

はじめに──「働くしかない」という選択肢しかない子どもたち

ダッカ郊外の縫製工場。
ミシンの音が絶え間なく響く室内で、少年ラフィク(仮名)は布を押さえ続けています。
学校に通っていたのは、ほんの数年前まで。
洪水で家が浸水し、父の仕事がなくなったあと、彼の一日は工場で始まり、工場で終わるようになりました。

バングラデシュの子どもたちは、ひとつの問題だけに直面しているわけではありません。
難民の流入、貧困、児童労働、そして気候変動による洪水。
それらが同時に重なり、子どもたちの「選択肢」を狭めています。

今回は、バングラデシュにおける子ども支援の文脈を、
ロヒンギャ難民、児童労働、洪水・気候災害という三つの軸から丁寧に見ていきたいと思います。

1. バングラデシュという国──成長と脆弱性が同居する社会

バングラデシュは南アジアに位置し、近年は経済成長を遂げてきました。

  • 人口:約1億7,000万人
  • 人口密度:世界有数
  • 繊維・縫製産業が主要産業
  • 多くの国民が低地・河川流域に居住

経済成長の一方で、
貧困層の多さ、社会保障の脆弱さ、災害への弱さが長年の課題です。
とくに子どもは、その影響を最も受けやすい存在です。

2. ロヒンギャ難民──突然増えた「支えきれない人口」

■ 世界最大規模の難民キャンプ

2017年以降、隣国ミャンマーから迫害を逃れてきたロヒンギャ難民が、
バングラデシュ南東部に大量流入しました。

  • 難民の多くが女性と子ども
  • 居住地は巨大な仮設キャンプ
  • 教育・医療・安全が不足

難民キャンプでは、
生まれた時から「国籍のない状態」で育つ子どもも少なくありません。

■ 教育の欠如がもたらす長期的影響

難民の子どもたちは、

  • 正規教育を受けられない
  • 将来の職業選択肢が極端に限られる
  • 搾取や暴力のリスクが高まる

という問題に直面します。

教育が断たれることは、
貧困と不安定さが次の世代へ引き継がれることを意味します。

3. 児童労働──「学ぶより働く」が現実になる理由

■ 生活を支えるために働く子どもたち

バングラデシュでは、
多くの家庭が日々の生活で精一杯です。

  • 親の収入が不安定
  • 都市部への流入
  • 家賃・食費の高騰

その結果、
子どもが家計を支える労働力として扱われるケースが生まれます。

縫製工場、建設現場、路上販売、家事労働。
これらは「違法」とされながらも、
現実には多くの子どもが関わらざるを得ない仕事です。

■ 児童労働が奪うもの

児童労働は、単に「働いている」状態ではありません。

  • 学校に通えない
  • 健康を害する
  • 将来の選択肢が失われる

短期的には家計を支えても、
長期的には貧困から抜け出せない構造を固定化します。

4. 洪水と気候変動──毎年のように奪われる「日常」

■ 水と共に生きる国の危うさ

バングラデシュは、
大河川が集中する低地に国土の多くが広がっています。

  • 雨季の洪水
  • サイクロン
  • 河岸侵食

これらは昔からの課題でしたが、
近年は気候変動の影響で被害が激甚化しています。

■ 洪水が子どもに与える影響

洪水が起きると、

  • 家が流される
  • 学校が閉鎖される
  • 衛生環境が悪化
  • 感染症が広がる

被害を受けた家庭では、
まず教育費が削られ、
子どもが働きに出るケースが増えます。

つまり洪水は、
児童労働と教育断絶を加速させる引き金にもなっています。

5. なぜ問題が「見えにくい」のか

バングラデシュの状況は深刻ですが、
戦争のような劇的な映像が少ないため、
国際的な注目が集まりにくい側面があります。

  • 難民はキャンプに留まる
  • 児童労働は日常に溶け込む
  • 洪水は「毎年の出来事」として扱われる

しかし、
静かに続く問題ほど、子どもたちの未来を確実に削っていくのです。

6. 国際社会が行っている支援の方向性

バングラデシュでは、次のような支援が行われています。

  • 難民キャンプでの教育・保健支援
  • 子どもの保護(暴力・搾取から守る仕組み)
  • 児童労働を減らすための教育支援
  • 洪水被災地での緊急支援
  • 気候災害への適応支援

重要なのは、
短期の緊急支援と、長期の教育・保護支援を同時に行うことです。

7. 日本から考えるバングラデシュ支援の意味

バングラデシュは、
日本人にとって心理的に近いアジアの国です。

衣服、日用品、食料品。
私たちの生活と、バングラデシュの労働は深く結びついています。

だからこそ、

  • 子どもが働かなくてよい社会
  • 災害に強い暮らし
  • 学び続けられる環境

を考えることは、
決して他人事ではありません。


おわりに──「選択肢」を取り戻すために

ラフィクがミシンを踏む理由は、
怠けているからでも、学びたくないからでもありません。

ほかに選択肢がないからです。

バングラデシュの子どもたちが必要としているのは、
特別な未来ではありません。

  • 働かなくてもよいこと
  • 学校に通えること
  • 災害が起きても立ち直れること

それだけです。

難民、児童労働、洪水。
これらは別々の問題ではなく、
ひとつの社会構造の中で連鎖しています。

その連鎖を断ち切る第一歩は、
現実を知り、見過ごさないことから始まります。

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投稿者: FIRST DONATE編集長 髙崎

非営利団体のファンドレイジング/広報支援を生業とするDO DASH JAPAN株式会社スタッフであり、FIRST DONATE編集長。 自身の体験を元に、寄付やソーシャルグッドな情報収集/記事制作を得意とする。 FIRST DONATE編集長 髙崎 のすべての投稿を表示

投稿者 FIRST DONATE編集長 髙崎投稿日: 2026年1月14日2026年1月14日カテゴリー 世界の社会課題タグ 子ども, 戦争/紛争, 環境問題, 衛生, 難民/移民, 震災/災害

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