NPO(エヌ・ピー・オー)という言葉を耳にすることがあると思います。
NPOとは、「Non-Profit Organization」の略で、日本語では「非営利組織」と訳されます。NPOは社会問題の解決や地域社会の発展を目的として活動する団体で、その活動内容は多岐にわたります。
しかし、NPOに対するイメージは人によって様々ですから、今回はNPOの基本概念、種類、特徴、具体的な活動内容、設立方法などについて詳しく解説したいと思います。
目次
NPOの基本概念
NPOとは?
NPOとは、「Non-Profit Organization」の略で、利益を追求せず、社会貢献を目的とする団体のことを指しています。
「Non-Profit」とは、利益を目的としないことを意味し
「Organization」とは、組織や団体を指します。
教育、福祉、環境保護、国際協力など多岐にわたる分野で活動しており、その活動内容は非常に幅広いことが特徴の一つ。
法人格とNPO法人
NPOには法人格を持つものと持たないものがありますが、法人格を持つNPOは「NPO法人」と呼ばれ、法的に認められた団体として、契約や財産の管理が容易になります。
法人格を取得することで、信頼性が高まり、活動の幅が広がるというメリットがありますね。
NPO法人の定義と設立
NPO法人は、特定非営利活動促進法(NPO法)に基づいて設立される法人のこと。
この法律は、特定非営利活動を行う団体に法人格を付与することにより、ボランティア活動をはじめとする市民の自由な社会貢献活動の健全な発展を促進することを目的としています。
NPOの種類
一般的にNPOというと、法人格を持たない団体も含まれますが、これらの団体は、地域のボランティア団体や学校の部活動なども該当するんです。
NPO法人
NPO法人は、特定非営利活動促進法に基づいて法人格を取得した団体です。法人格を取得することで、その団体の名義で契約や財産の管理が可能になり、信頼性が向上します。
認定NPO法人
認定NPO法人は、NPO法人の中でも特に公益性が高く、一定の基準を満たした団体です。認定を受けることで、寄付者に対する税制上の優遇措置が適用されるため、資金調達がしやすくなります。
特例認定NPO法人
特例認定NPO法人は、設立後5年以内のNPO法人で、一定の条件を満たした団体です。この認定を受けることで、設立初期の活動を支援するための税制優遇措置が適用されます。
NPOの特徴
NPOは、営利を目的としないため、活動の中で得た利益は全て社会貢献活動に使われますから、利益を分配することなく、持続可能な社会の実現に向けた活動を続けることが求められています。
活動分野
NPOの活動分野は多岐にわたりますので、例えば、以下のような活動があります。
- 保健、医療、福祉の増進
- 社会教育の推進
- まちづくりの推進
- 環境保全
- 災害救援
- 国際協力
これらの活動を通じて、NPOは社会の様々な課題に取り組んでいます。
非営利性と収益の扱い
NPOは非営利団体であるため、活動の中で発生した利益はメンバーに分配されず、全て団体の目的達成のために使われます。
例えば、教育支援を行うNPOが得た寄付金は、全て教育支援活動に使われ、これによりNPOは持続的な活動と社会貢献活動を行うことができるのです。
給与と報酬
当然ですが、NPOで働く人には給与が支払われています。
給与の支払いは利益の分配ではなく、経費として扱われますから、NPOの活動に必要な人材を確保するためには、しっかりと適切な給与を支払うことが重要ですよね。
もちろんNPOの理事や職員も、普通の企業と同じように給料をもらって働いているんです。
NPO法人の設立方法
NPO法人を設立するためには、一定の手続きが必要です。以下にその基本的な流れをご紹介します。
設立の認証
NPO法人を設立するためには、所轄庁に申請書を提出し、設立の認証を受ける必要があります。申請書には定款、役員名簿、設立趣旨書などの書類が含まれており、所轄庁が申請内容を審査し、基準を満たしていると認められた場合、設立が認証されます。
登記と法人の成立
設立の認証を受けた後は、法務局において登記を行うことで法人が正式に成立します。登記が完了すると、NPO法人としての活動が可能になり、法人格を取得することで、団体名義での契約や財産管理が可能になり、活動の幅が広がります。
情報公開と報告義務
NPO法人は、毎事業年度終了後に事業報告書や計算書類を作成し、所轄庁に提出する義務があります。
これらの書類は全ての事務所に備え置き、社員や利害関係者が閲覧できるようにしなければなりません。この情報公開制度により、市民による監視と透明性の確保が図られているんですね。
NPOと株式会社の違い
利益の使い道
NPOと株式会社の大きな違いは、利益の使い道です。
株式会社は利益を株主に分配しますが、NPOは利益を分配せず、全て団体の活動目的達成のために使います。
受益者と費用負担者
NPOの活動では、サービスを受ける人(受益者)と費用を負担する人(寄付者)が異なることが一般的です。
例えば、ホームレス支援のNPOでは、ホームレスの人々が支援によるサービスを受け、寄付者が費用を負担します。これに対し、株式会社では、商品やサービスを購入する人がその費用を負担しますね。
NPOと行政の違い
規模と柔軟性
NPOと行政の大きな違いは、規模と柔軟性です。行政は大規模なプロジェクトを実施する能力がありますが、その反面、意思決定が遅くなることがあります。
一方、NPOは小規模な組織が多く、迅速に対応できる柔軟性があります。例えば、災害時の支援活動では、NPOが迅速に支援を開始している様子をニュースなどで見たことがありますよね。
資金源
行政は主に税金を財源としていますが、NPOは寄付や助成金を主な財源としています。この違いにより、NPOは市民の意見を直接反映しやすい一方で、資金調達の課題も抱えています。
社団法人と財団法人
財団法人
財団法人は、お金を集め、その運用益を使って活動する団体です。
個人や企業からの寄付金を元にして設立されることが多く、公益財団法人と一般財団法人の2つに分類されます。
社団法人
社団法人は、人々が集まって設立する団体です。会員が会費を支払って活動資金とし、同じ目的を持った人々が集まって活動します。
社団法人も、さらに公益社団法人と一般社団法人の2つに分類されます。
NPOの歴史
日本のNPOの歴史
日本のNPOの歴史は、1998年に特定非営利活動促進法(NPO法)が施行されたことに始まります。
NPO法が制定される前は、NPOの代わりに任意団体として市民活動が行われていました。NPO法が制定された背景には、1995年の阪神・淡路大震災が大きな影響を与えました。この震災をきっかけに、NPO法の制定に向けた機運が高まったと言われています。
NPOの活動事例
国内の活動
日本国内のNPOは、多岐にわたる分野で活動しています。例えば、福祉、教育、環境保護、地域活性化などが主要な活動分野で、これらのNPOは地域社会のニーズや課題に応じて活動し、社会の課題解決に貢献しているのです。
国際的な活動
国際協力を目的とするNPOも多く存在します。
これらのNPOは、発展途上国での教育支援、医療支援、環境保護活動などを行い、国際的な社会課題の解決に貢献しています。例えば、国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は、世界中の子どもたちに対して教育や医療支援を提供していることで有名です。
NPOに関わる方法
寄付
NPOに対して寄付を行うことで、直接的にその活動や、その先にいる困っている存在を支援することができます。
寄付は、金銭的な寄付だけでなく、物品の寄付やボランティア活動も含まれています。寄付を通じて、NPOの活動を支援し、社会貢献に参加することができるんですね。
ボランティア
NPOでのボランティア活動は、自分の時間やスキルを提供することで、直接的に社会貢献する方法です。
ボランティア活動を通じて、NPOの活動をサポートし、社会の課題解決に貢献することができます。ボランティア活動は、短期的なものから長期的なものまで様々で、自分のライフスタイルに合わせて参加することができます。
就職・転職
NPOでの就職や転職は、社会貢献を仕事にする非常にやりがいのある方法です。
NPOで働くことで、日常的に社会課題の解決に取り組むことができ、やりがいのある仕事として人々に支持されています。NPOでのキャリアを築くことで、社会貢献をしながら自分自身の成長も期待できます。
NPOに対する関心と実態
市民の関心
内閣府の調査によると、NPOに対する市民の関心は高まりつつあります。特に、若い世代や社会貢献に関心のある人々の間で、NPOの活動に対する理解と支持が広がっていると言われています。
このような背景から、NPOの活動がますます重要視されるようになっています。
課題と展望
NPOは、多くの社会課題に取り組んでいますが、資金調達や人材確保などの慢性的な課題も抱えています。これらの課題を解決するためには、市民や企業からの認知や共感、そして支援が不可欠です。
そして今後、NPOがより一層社会に貢献するためには、透明性の確保と持続可能な運営体制の構築が求められます。
まとめ
NPOとは、「Non-Profit Organization」の略で、利益を追求せず、社会貢献を目的とする団体のことを指します。NPOには法人格を持つNPO法人や、認定NPO法人、特例認定NPO法人などがあります。NPO法人を設立するためには、所轄庁に申請書を提出し、設立の認証を受ける必要があります。設立後は、情報公開や報告義務を遵守しながら、持続可能な社会貢献活動を行います。
NPOは、多様な分野で社会の課題に取り組み、地域社会の発展に貢献しています。利益を目的とせず、活動の中で得た利益は全て団体の目的達成のために使われます。このように、NPOは持続的な社会貢献活動を通じて、より良い社会の実現に寄与してるのです。
NPOに対する市民の関心は高まりつつあり、今後ますますその重要性が増すことが期待されていますから、私たちもNPOの活動に関心を持ち、寄付やボランティアを通じて関わることで、一人ひとりが社会の課題解決に貢献することができるのです。