【超入門】株式寄付・信託・遺贈 “やりたいけど分からない”を解消する、実行手順ガイド

寄付というと、現金で行うものというイメージが一般的です。

しかし実際には、株式や信託、相続財産といった「資産」を使った寄付も可能であり、より大きな社会的インパクトを生み出す手段として注目されています。

一方で、これらの寄付は「難しそう」「手続きが複雑そう」と感じられ、実際に行動に移る人は多くありません。
その理由のほとんどは、「何から始めればいいか分からない」という一点に集約されます。

本記事では、株式寄付・信託・遺贈について、概念説明ではなく、
実際にどう動けばよいのかという手順に絞って解説します。

株式寄付|保有している資産をそのまま社会に還元する

株式寄付とは、保有している株式を売却せず、そのまま団体へ移転する寄付方法です。
現金化せずに資産を活用できるため、特に含み益のある株式を保有している方にとっては合理的な選択肢となります。

実際の流れはシンプルです。
まず、寄付したい団体が株式寄付を受け入れているかを確認します。すべての団体が対応しているわけではないため、この確認は最初に行う必要があります。

受け入れ可能であれば、次に自身の証券会社へ連絡し、「株式を第三者へ移管したい」旨を伝えます。証券会社から案内される手続きに従い、移管依頼書や必要情報を提出すると、株式は団体の口座へ移転されます。

その後、団体側で株式を売却し、現金化された資金が活動に使われます。

株式寄付の特徴は、通常であれば売却時に発生する譲渡益課税を回避できる可能性がある点です。また、寄付先が認定NPO法人などの場合には、寄付金控除の対象となるケースもあります。

つまり、株式寄付は単なる寄付ではなく、資産の効率的な活用と社会貢献を両立できる手段です。

信託|寄付を「時間軸」で設計する

信託は、資産を信託銀行などに預け、その管理や分配をあらかじめ設定した条件に従って行う仕組みです。
寄付においては、「いつ・どのように・どこへ資産を届けるか」を計画的に設計することができます。

実務の流れとしては、まず信託銀行に相談するところから始まります。
ここでは、保有している資産の内容や規模、寄付を行いたいタイミング、支援したい分野などについてヒアリングが行われます。

その内容をもとに、信託契約の設計が行われます。例えば「毎年一定額を寄付する」「一定期間後にまとめて寄付する」「死亡後に残余財産を寄付する」といった形で、複数の条件を組み合わせることが可能です。

契約締結後は、資産が信託口座に移され、銀行が管理を担います。そして契約内容に従って、定期的または条件付きで寄付が実行されます。

信託の本質は、「寄付を一度の行為で終わらせず、継続的な仕組みに変えること」にあります。
個人の意思を長期的に社会へ反映させる手段として、有効性の高い選択肢です。

遺贈|人生の最終意思としての寄付

遺贈とは、遺言書によって、自身の財産の一部または全部を特定の団体に寄付する方法です。
亡くなった後に実行される寄付であり、「最後に社会へ何を残すか」という意思を反映する手段でもあります。

手続きは、遺言書の作成が中心となります。
まず寄付先を明確に定め、その団体名を遺言書に正確に記載します。そのうえで、公証役場にて公正証書遺言として作成するのが一般的です。

遺言書には、寄付内容だけでなく、遺言を実行する「遺言執行者」を指定することが重要です。弁護士や信託銀行などを指定することで、確実に寄付が実行される体制を整えることができます。

死亡後は、この遺言に基づいて財産が整理され、指定された団体へ寄付が行われます。

税務面では、寄付先が一定の条件を満たす団体であれば、相続税の非課税措置が適用される場合があります。これにより、資産の一部を社会へ還元しながら、税負担の最適化を図ることも可能です。

どの方法を選ぶべきか

これら3つの方法は、目的によって選び方が異なります。

現在保有している資産を活用したい場合は株式寄付、
長期的な計画を持って寄付したい場合は信託、
死後に資産を社会へ残したい場合は遺贈が適しています。

重要なのは、「どの方法が優れているか」ではなく、
自分の資産と意思に合った設計を選ぶことです。


寄付は「意思」ではなく「設計」で実現される

株式寄付・信託・遺贈はいずれも、思いつきで実行できるものではありません。
一方で、必要以上に難しいものでもありません。

すべては、次の順番で進みます。

寄付先を決める。
専門家に相談する。
内容を設計する。
手続きを行う。

この流れを一つずつ進めることで、実行に至ります。

寄付とは、単なる善意の表明ではなく、
資産をどのように社会へ循環させるかという設計の問題です。

その設計が具体化されたとき、寄付は初めて現実のものになります。

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投稿者: FIRST DONATE編集長 髙崎

非営利団体のファンドレイジング/広報支援を生業とするDO DASH JAPAN株式会社スタッフであり、FIRST DONATE編集長。 自身の体験を元に、寄付やソーシャルグッドな情報収集/記事制作を得意とする。