やばい?【NPO/非営利団体】への就職。メリデメやフローまで一気に紹介

NPO法人ボランティア団体などの非営利活動法人に就職することは、社会貢献を仕事にできるという大きな魅力があります。
人びとや自然保護、地域のために働き、困難に直面する社会問題に対処する仕事はやりがいを感じる場面が多く、新卒学生にとっても注目されるキャリアパスの一つなのでしゃないでしょうか。

しかし・・・、『NPOで働くのは給与が低い』『福利厚生が充実していない』『キャリア形成が難しい』などのネガティブな声を耳にしたことがあるかもしれません。
そこで、今回の記事では、NPOに関心を持つ大学生に向け、就職までの具体的なフローや、そのメリット・デメリットを詳しく解説していきたいと思います。


NPO法人とは?基礎知識と仕事内容について

NPO法人の定義と役割

NPO法人(非営利組織)= Non Profit Organizationとは、利益追求を目的とせず社会課題の解決や地域社会の活性化などをメインの目的とする団体です。

“非営利”とは利益を出してはいけないという意味ではなく、その利益を株主や経営者に分配するのではなく、団体の目的達成や事業活動に再投資することを指しています。
現在、日本には約5万ものNPOが存在し、そのうち10%が「事業型NPO」であり、残りの90%は主に収入源を寄付や公的機関などからの補助金で運営されています。

事業型NPOは、独自のビジネスモデルを構築し、サービスや商品を提供しながら収益を得る仕組みを持っているため、安定した雇用を提供するケースも増えています。このような団体では、社会貢献をしながらも、給与や福利厚生の面で安心できる選択肢となることもあります。

働き方と給与の実態

NPO法人での給与一般的に民間企業より低い傾向がありますが、それは団体によって差があります。
例えば、過去の求人情報によると平均月給は224,483円程度と報告されています。
この数字は日本全体の平均給与よりもやや低いものの、団体の財務状況や事業規模に応じて昇給の可能性もあります。
当然ですが、スキルや経験を積むことで給与の上昇が期待できる団体も存在します。また、福利厚生は団体によって異なりますが、フレックスタイムやリモートワークを導入している団体も多く、柔軟な働き方が可能です。

仕事の内容

NPO法人の仕事内容は、その団体の規模や活動内容によって様々ですが、一般的には以下のような部署や業務に分かれています。

企画・運営部門

  • 新規事業やプロジェクトの企画立案
  • 社会課題やステークホルダー(支援対象者、地域社会など)のニーズ調査
  • 予算計画やスケジュールの作成
  • イベントの企画運営(例:チャリティーイベント、キャンペーンなど)
  • 資金調達のためのプロジェクト立案

広報・コミュニケーション部門

  • 団体の活動内容や成果を広報するためのプレスリリース作成
  • SNSやウェブサイトでの情報発信と管理
  • メディア対応(取材やインタビューの調整)
  • ニュースレターや年次報告書の作成

ファンドレイジング(資金調達)部門

  • 企業や個人向けの寄付金募集活動
  • 助成金や補助金の申請および報告書作成
  • 寄付者との関係構築、感謝状の送付
  • クラウドファンディングや会費制度の運営

ボランティアコーディネーション部門

  • ボランティアスタッフの募集、研修、管理
  • ボランティアの活動計画立案
  • ボランティア活動後のフィードバックや評価

総務・人事部門

  • 人事管理(採用活動、研修計画、労務管理)
  • 団体内部の運営サポート(会議の準備や進行)
  • 各種契約書や規定の管理
  • 施設や備品の管理

財務・経理部門

  • 資金の管理(収入・支出の管理、会計ソフトの運用)
  • 年次財務報告書や決算書の作成
  • 税務申告や監査対応
  • 助成金や補助金の会計処理

これらの部署が連携し団体全体の運営を支えています。
それぞれの職務はNPOの社会貢献活動に直結しており、組織全体のミッションを実現するための役割を果たしています。


NPO法人に就職するまでのフロー

情報収集と自己分析

NPO法人に就職するための第一歩、それは徹底的な情報収集です!
興味のある団体のミッションやビジョンを理解し、団体がどのような社会問題に取り組んでいるのかを調べましょう。

財務状況や収入源(例えば、寄付金、補助金、事業収入など)も確認しておくことが重要です。


NPO法人の財務状況や収入源を確認するには、まずはその団体の公式ウェブサイトをチェックしてみましょう。
ほとんどのNPOは、「年次報告書」や「財務報告書」を公開していて、寄付金、補助金、事業収入といった主な収入源の内訳が記載されています。また、NPO法人の活動報告書も確認することで、どのようなプロジェクトを実施しどのように資金が使われているのかがわかります。
さらには、内閣府のNPOポータルサイトや都道府県のNPO支援センターを利用することでも、団体の定款や事業報告書、財務書類を閲覧することができます。
これらの情報をもとに、NPOがどのように活動資金を集め、活用しているかを確認してみてください。

一方で、自己分析も欠かせません。『なぜNPOで働きたいのか』『社会貢献を仕事にする意義や目的は何かを明確にし、それが自分のキャリアゴールやこれからの歩みたい人生に合っているかをじっくりと考えるようにしてみましょう。

説明会へ行く

NPO法人も、一般企業と同じように説明会採用イベントを開催している場合があります。
説明会に参加することで、団体の活動内容や運営方針、採用プロセスについて直接知ることができますし、実際に働いているスタッフの方々と話す機会があるので、団体の文化や職場環境について具体的な情報を得ることができます。
説明会で得た情報は、自分の志望動機を明確にする上でも役立ちますし、団体への理解を深めるためにも有効です​。

インターンやボランティアで経験を積む

実は、NPO法人に新卒で採用されるのは簡単ではありません。
多くの団体は中途採用を重視しており、新卒採用枠は限られています。そのため、インターンシップやボランティア活動などを通じて、現場の経験を積むことがとても重要です。これは、就職活動における自己PRにも直結するので、団体に対して自分がどのように貢献できるかをアピールするための大事な材料となります。

ボランティアについてもっと詳しく

応募書類と面接対策

NPO法人の応募書類では、志望動機や自己PRがとても大切です。特に、その団体のミッションにどれほど共感しているか、目指している社会像は一致しているか、そして自分のスキルや経験がどのように団体の活動に貢献できるかを具体的に伝える必要があります。

面接では、自己分析を深め、団体が求める人物像に自分が合っていることを的確に伝えることが成功の鍵です。さらに言えば、NPO特有の財政や運営状況に対する理解を持っていることも、面接で高く評価される要素となるはずです。


NPO法人で働くメリット・デメリット

メリット

NPO法人で働く最大のメリットは、社会貢献への実感や課題解決を間近に体験できることへのやりがいをダイレクトに感じることができる点です。

NPOは社会問題の解決を目的としているため、自分の仕事が誰かの役に立っていると感じやすく、そのやりがいはとてつもなく大きいものです。また、働き方は比較的柔軟で、プロジェクトベースの業務が多いため、仕事とプライベートを両立しやすい環境が整っていることも魅力かもでしれません。

デメリット

NPO法人での仕事にはデメリットもあります。
最も大きなものは給与水準の低さです。多くのNPOは財政基盤が安定しておらず、収入が限られているため、スタッフの給与もその影響を受けがちです。
また、キャリアアップが難しいという点もデメリットの一つで、NPOには企業のような昇進制度が整っていないことが多く、長期的なキャリア形成をどうするかが課題となります。


「NPO法人はやばい」という声も?

実際のところは?

『NPOは給料が低くてやばい』『労働環境が悪い』『やりがい搾取だ』という声をよく耳にしますが、それらがすべてのNPOに当てはまるわけではありません。
盤石な経営感覚を持ち、持続可能なビジネスモデルを構築している団体では、やりがいと収入の両立が可能になっています。
中でも事業型NPOの場合では、事業収入を基盤とした運営が行われているため、安定した雇用が期待できるケースもあります。

国際NGOという選択肢

非営利団体と一口に言ってもその形態は非常に様々で、中でも国連やその関連機関と連携しているような国際NGOと呼ばれる団体も存在します。このような大型な団体では、安定した運営基盤のもとで世界的な社会課題に取り組むことができ、キャリアアップの機会も豊富に用意されています。

たとえば、国際的な貧困問題、環境保全、人権、ジェンダー問題など、地球規模の課題に挑戦できるため、グローバルな視点で経験を積むことが可能です。また、国際NGOでは多国籍のチームで働く機会もあり、語学力や異文化理解力を活かして活躍することが求められます。こうした場合には、NGOで働くという経験が、その後のキャリア形成に大きくつながることとなるでしょう。

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さらには、大規模な団体ほどポジションが明確で、プロジェクト管理やリーダーシップの経験を積む機会が多いこともキャリアアップの面で有利です。
国際機関での経験は、将来的に国際機関や企業のCSR部門、またはSDGs関連の事業に転職する際にも高く評価されるでしょう。


まとめ

NPO法人への就職は、社会貢献の面でとても魅力的です。
しかし、長期的なキャリアプランや給与面での不安も考慮する必要があります。どんな就職もそうですが、成功するためには自己分析を深め、団体のミッションやビジョンに共感し、情報収集を徹底することが不可欠です。
また、インターンやボランティア活動を通じて、現場の経験を積みながら自分に合った団体を見つけることが、NPO就職の成功の鍵となります。


NPOで働くことの”社会的価値”

NPOで働くことは、給与やキャリアだけに焦点を当てるのではなく、広い視点での「社会的価値」を考えてみてはどうでしょうか。
NPOスタッフとして働くことは、私たちすべての利益を超えた公共の利益を追求するという側面が強く、社会全体に対してポジティブなインパクトを与えます。
自分の人生を通してどのように社会に貢献できるか、どんな影響を与えられるのか、生きている意味や目的とは?そうした抽象的かつ哲学的な問いに向き合うこともできるでしょう。

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投稿者: FIRST DONATE編集長 髙崎

非営利団体のファンドレイジング/広報支援を生業とするDO DASH JAPAN株式会社スタッフであり、FIRST DONATE編集長。 自身の体験を元に、寄付やソーシャルグッドな情報収集/記事制作を得意とする。