朝いちばんの仕事は、水くみ。まだ薄暗い道を、片道40分。戻ってきたら弟の身支度を手伝い、洗濯、朝ごはん。学校は始まっているけれど、彼女にとって「教室」はいつも少し遠い。
——私たちが想像するよりもずっと多くの地域で、女の子の一日は、こうして始まっています。
「女の子だから」という言葉が、彼女たちの時間と選択肢を奪っていく。
早すぎる結婚や妊娠、通学路の不安、学校に女子トイレがないこと、月経用品が手に入らないこと。ほんの小さな不便が、やがて「行かない」「行けない」に変わる。
国際NGOの現場報告でも、女の子が直面する障壁は家庭・学校・地域の慣習が重なり合って起きることが繰り返し指摘されています。
目次
「学びたい」という声
今回、この記事で私たちは、調査データに並べられる統計だけを語ることは敢えて避けてみたいと思います。
代わりに、女の子自身の声に耳をすませたい。
例えば、国際ガールズ・デーに合わせて行われたヒアリングでは、多くの少女が「教育」の話を最初に口にしました。「試験に落ちたら結婚させられるかもしれない」と語った16歳の少女。学校に通えるかどうかが、人生の分岐点になります。
「通える」ことはスタートラインにすぎません。
教室に女子トイレや生理用品があって安心して過ごせること、通学路が安全であること、保護者が『女の子の教育は家の誇りだ』と言えるようになること。
支援の現場では、水や衛生(WASH)の整備、月経衛生への配慮、地域全体を巻き込む働きかけが、就学の継続を支える“見えない土台”として積み上げられています。
たった一つの「やめない理由」が、連鎖を変える
学校に通い続けた女の子が、ある日、卒業証書を掲げて笑っている。その背後には、数えきれない「やめない理由」があります。
——制服を買えたから。
——月経の日も休まなくてよくなったから。
——女の先生が増えて、相談できる人ができたから。
——「女の子も学ぶべきだ」と父が言ってくれたから。
支援の要は、施設だけでも奨学金だけでもなく、「女の子を取り巻く環境すべて」を一緒に動かすこと。
だから、現場の強いローカル・パートナーシップを持つ支援活動団体への寄付が、彼女たちの“日常”を少しずつ変えていきます。
日本から寄付で支えられる信頼の団体(編集部推薦)
以下はFIRST DONATE編集部が、女の子の「学ぶ」「生きる」を軸に、現地と伴走している日本の団体を物語の流れに沿って紹介するものです。
詳細は各公式ページをご確認ください。
プラン・インターナショナル・ジャパン ——「女の子だから」の壁を壊す

プランは、世界各地で「女の子」に焦点を当てた教育・保護・エンパワメントの取り組みを進めてきました。
彼女たちが直面する早すぎる結婚や暴力、人身取引、避難生活の困難。プランの現場は、その一つひとつに名前を付け、具体的に崩していく作業です。日本に拠点を持つ強みは、寄付者に対する丁寧な報告と、長年の実績にも表れています。
寄付が支える変化の例
- 女の子が通い続けられるよう、学校・家庭・地域を同時に動かす啓発と支援。
- 児童婚を許さない地域合意づくりや、保護の仕組みづくり。
- 女の子自身が自分の未来を語れるようになるエンパワメント活動。
ワールド・ビジョン・ジャパン ——「1000 GIRLS」で地域ごと未来を動かす

ワールド・ビジョンの「1000 GIRLS」などの取り組みは、通学を妨げる“家の事情”に目を向けます。
学用品の支給だけではなく、家族や地域の意識を揺さぶり、教室の整備や井戸設置などWASHの改善までを含めて、「女の子が休まない」ための理由を増やしていく。現地から届く声は単なるケース報告ではなく、女の子たちの“続きのある日常”です。
寄付が支える変化の例
- 学校の教室・トイレ整備と衛生環境の改善。
- 家庭・地域への働きかけで児童婚の抑止と就学継続を後押し。
- 子どもの声に基づく計画づくりと成果の可視化。
JOICFP(ジョイセフ)——「からだ」と「権利」を女の子の手に

学校に行けるかどうかは、からだの安心と切り離せません。
JOICFPは、性と生殖の健康と権利(SRHR)を軸に、地域で根づく慣習そのものを変えていく団体です。包括的性教育、保護者への対話、必要なヘルスケアへのアクセス。月経や妊娠・出産が“学びをやめる理由”にならない社会を、地域の手で育てていくアプローチが特徴です。
寄付が支える変化の例
- 女の子・若者向けのライフスキルと包括的性教育。
- 月経・妊娠・暴力に関する相談・医療アクセスの改善。
- 有害な慣習を変えるためのコミュニティ対話と女性のエンパワメント。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン ——危機のただ中で「学び」を守る

紛争や災害の現場では、まず命を守る緊急支援が必要です。
しかし、その次の瞬間から「学び」を再開できるかどうかが、女の子の将来を分けます。セーブ・ザ・チルドレンは、教育と保護を一体で考え、児童婚や暴力から少女を守りながら、中等教育修了という長い道のりに寄り添ってきました。
寄付が支える変化の例
- 紛争・災害下での仮設学習スペースや教師支援。
- 児童婚から少女を守る地域の仕組みづくりと啓発。
- 女の子が安全に戻れる「学校」を再建・再生。
未来は、寄付のあとに続いていく
私たちが見たいのは、次のような世界です。
- 井戸ができて、水くみの往復がなくなった。彼女は一時間早く教室に着く。
- 学校に女子トイレができて、生理の日も欠席しない。ノートの空白が埋まっていく。
- 父親が地域のミーティングで「娘の教育は家の誇りだ」と話した。周りの男たちの表情が変わる。
- メンターに相談して選んだ進路。卒業式のあと、彼女は下の学年の女の子に“次はあなたの番だよ”と言う。
どれも、統計表には出てこない小さな出来事。
でも、その積み重ねが「女の子だから」という鎖をゆっくりほどいていきます。
FIRST DONATEからの提案:寄付の前に、三つの質問だけ
- 続けられるか
 その団体は、通学を「始める」だけでなく「続ける」ための環境(WASH、月経衛生、地域意識、保護)まで見ているか。
- 地域と一緒か
 保護者・地域・学校・行政を巻き込み、慣習や構造にも手を入れているか。
- 卒業の先まで描いているか
 ライフスキルやメンター、進路支援など「卒業→自立」への道筋があるか。
まとめ
女の子の支援は、特別扱いではありません。社会の根っこを耕す作業です。制服の裾を押さえながら笑う誰かの名前を、私たちはやっと知り始めています。
寄付は小さくても、物語は大きくなる——そのことを、何度でも一緒に確かめていきたいと思います。

